かつて、鳥籠の鳥だったわたしへ訳あって、実家に戻ることになった。家を出たときに、二度と戻ることは無いと思っていた。厳格すぎる父とストレートな言葉使いしかしない母と、いじめを発端に自殺未遂を繰り返し、わたしを毛嫌いするようになった妹のいる家に、居場所を見つけられなかった私は、若い頃早々に家を出てからというもの、ほぼ実家には寄りつかずにいた。わたしは、人には「公で語ることのない感情や、言葉があること」をとても大切だと思っている。表に出ている「わたし」以外にもたくさんの「私」を持っていて、こうして書けば少しの間は残るし、誰かの心のかけらになることもある。でもそうならないだろう、公にしない私のことをわたしは、どこにも残らなくとも、わたし自身すら忘れてしまったとしても、残...02Dec2024つれづれ日々の音