わたしは時折旅に出ます。
取り分け、現地の人が通う市場がとても好きで、
必ず訪れた先の市場へ行く。
少しの観光客もたくさんの地元の人も往きかうその場所の、その時、その瞬間を捕まえるために。
地元の人には、毎日の日常の風景。
旅人のわたしには、訪れたいっときの風景。
その中に紛れ、
所在なく過ごすのが好ましい。
そうしていると、
いつの間にやら、
珈琲やら地元のスイーツやら煙草やら椅子やら
あれよあれよと、
色んなものが差し出されている。
そこには大抵、彼らには馴染みの野良猫がいて。
動物にだけはめっぽうモテるわたしは、
その野良猫も寄ってくるので、
どうやらその子たちのお陰でご相伴にあずかれるらしい。
その、ふとした瞬間が好きなのだ。
その、その場に、そこにいる人に、
そこにいるわたしといつもの毎日にいるわたしに、
繋がる感覚が訪れる。
落ち葉のように幾重にも日常と合わさって降り積もる。
そんな風なので、
わたしの記憶は時系列が曖昧だ。
ガイドブックを買っても読まずに旅に出るわたしは、
その記録と記憶のはざまに
また、恋をする。
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