あをによし


先日、奈良の春日野国際フォーラムで開催された
Points of You Japan Conference 2019
〜古都・奈良に集う万葉の物語〜
へ参加してきました。


芝の翠の美しい庭園からはじまったそれは、
ひたすらPoints of Youのワーク三昧。


なかなか普段は受けることが出来ない全国から集まったPoints of You®トライブ(有資格者)たちのワークにどっぷり浸かってきました。


奈良までの道すがら、
「万葉写真帖」を眺めながらカンファレンスが終わったら、どんな気持ちでいたいかなと、

カードならぬ「万葉写真帖」のページを開く。



そこには、


青丹よし寧楽の京師は咲く花の薫ふがごとく今盛りなりー小野老ー
奈良の都は咲く花が美しく照り映えるように、今が真っ盛りである。

とあります。


小野老(おののおゆ)が、赴任先の大宰府から奈良の都を想って詠んだ歌。


色々と意味を詠むことはできますが。
わたしには、この歌はこんな風に聞こえてきます。


当日を迎えるために数多の打ち合わせを重ねてきたであろう主催・スタッフの方々と、全国から集まったトライブと、それはまさに咲き誇る花のようでしょう。
その花に応えるならば、わたしも花をひとつ咲かせましょう。


わたしは人見知りだし、写真を撮られることも苦手だし、緊張しいだし、出来上がってる輪の中に入っていくことがとても苦手…なんですが。
(ひとり旅で知らない現地の方に話しかけるのは、まったく苦ではないのに…)


せっかく行くのですもの。


無理矢理、仮面を被りまくり愛想いい子ちゃんを演じることは毛頭できないけれど。
(誰も望んでないし…そもそもそんな必要もないのですけれど)
いつもよりほんの少し勇気を持って、ご縁があった方たちとお話ししてこよう。


などと、思っていたのですが。


すっかり大事なことを忘れていました。


カンファレンスとは言え、Points of You®なのです。


初対面の方々と、知らぬ間に心を開いて対話をすることができるのです。


且つ、視点の違い、人の違いを大切にしている方々です。


普段、ワークショップや講座で、
その効果をお伝えしているのに…ね。


カンファレンスが進むにつれ、ワークショップを重ねるにつれ、向かう道中の懸念はすっかり消え、
2日間のカンファレンスを終え、帰る頃には花のひとつになった気でおりました。



小野老は、いつ戻れるとも知れない奈良を思い、太宰府で憂いていたのでしょうか。
それとも、政治的策略の荒波にも負けじと自身の運命を生き抜いたのでしょうか。


どんな想いを込めてこの歌を詠んだのか、
本人にしか真相は分かりません。


和歌を詠むのには一定の決まりがあるとしても。


その句の一語一音から何を感じるのかは、
触れた人次第だと思うのです。


それに触れたその人がその時その瞬間に感じることが、大切だと思うのです。


それは、まさにPoints of You®の写真を見たときや、答えのない芸術を前にした時も同様に。


カンファレンスでも和歌とPoints of You®カードを使ったワークがありました。


その時の和歌と引いたカードがこちら。


鼯鼠は木末求むとあしひきの山の猟夫にあひにけるかも
ー志貴皇子ー
むささびは木の枝へ飛び移ろうとして、山の猟師にみつかってしまったのだな

わたしは、“獲物”と“猟師”の敵対関係ではなくて、


逢いたい人には手に刻まれる皺ごと会いに行こう。
そんな風に感じました。


そして同じ和歌を配られた方は、
「あまり目立たず生きていこう」
そんな風に感じたそうです笑


まあ、面白い。


また別のワークショップでも、
古都・奈良を歩きながら、立ち止まってはカードを選び、

何を感じたか伝え合うことをしたのですが


途中、サイレントウォーク(沈黙して歩く)の時間がありました。


歩き終わって感想をシェアしたのですが、
「いま感じてる気持ちを一緒に歩いてる人に伝えたかった」
「たくさんの音に気がついた」
「建物が目についた」


など、感じたことは人それぞれ。


それを受けて
あら、わたしはちっとも見てなかった世界を見てる!
わあ、素敵!
そうなのね!今度はそれを真似しよう!


などと、また視野が広がるのです。


その違いこそが、ひとの持つ「答えのないことへ向き合うチカラ」でしょうし、
表現を模索し、それを伝え合い認め合うことが、人と共創することの面白さだと思います。


まったく違う視点をもらうと、
人生はとても豊かで、また違う輝きをもたらす。


そこかしこに花がどんどん開いていく。


あをによし。



すぐに答えの出ないことに、ひとつの正しさのないことに向き合えることは、

人生にひとつひとつ花を咲かせていくようなものなのではないか、

そんな風に思います。


そんな花を咲かせていこうじゃありませんか。

日々の音

大人のための絵のない絵本。 日常と非日常のはざまにあるふとした瞬間を音にする。 心を奏でていくと、世界はこんなにも美しくやさしい。 大人のあなたへ、ココロにまばたきをお届けします。

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