「わからない」のススメ
Diving into the unknown
気がつけばもう秋がそこにいて
ついこのあいだまで明るかった帰り道の空は
すっかり夜を連れている。
あら、いつのまに…
わたしは呑気過ぎるとしても、
世間はなんと「早い」のでしょう。
ーー
それにしても、
答えを出すのも、結果を求めるのも、
スピードも理解することさえも、
なんだか「早いこと」がよい、
かのような空気が漂っている気がしている。
早さイコールではないかもしれないけれど、
「簡単に早く」や「誰かの正しさ」は
確かに至極コンビニエントだけれど。
だけれども、
「早さ」を求めるたびに、何か大切なものが
ぽろぽろとこぼれ落ちていくような気がしてしまうのは、わたしだけでしょうか…
例えば何かを手にする時。
資格でもツールでも表現でも、なんでもよいのだけれど。
誰かの正解に安心を覚える人もいるでしょうし、
早く答えを手にしたい方もいるでしょう。
誰かの模造もスピーディに結果が手に入るのかもしれない。
ただ、わたしは簡単には掴めない、
容易にはわからないものに魅かれてしまう。
すぐにわからない、からこそ、
「分かっていること」「結果の出ていること」だけでは知り得なかった、
異なる世界の見方を得ることができる。
自分なりの答えを探していくこと。
時間はかかるかもしれないし、
もしかしたら
「わかりきる」ことはないのかもしれない。
それでも、そこには「簡単に早く」や「誰かの正しさ」「人真似」だけでは得られない
「自分で向き合った答え」があること、
だけをわたしは知っている。
わたしの「わからない」を知る
何かのコピーではない、わたしの感覚を磨くこと。
たとえば、わたしにとっては旅も、
わからないことを味わう時間。
ガイドブックという「分かりやすいもの」に書いてあるおすすめコース！をなぞるのもよいけれど
旅には予想外がつきものだ。
予想外のことが起こるほど
その国のことを知ることができる。
「分かっているつもり」がガラガラと音を立てて崩れ、
わたしにはこんなにも分からないことがある、
と、「分かっていないわたし」を知ることができる。
ジャックスパロウみたいなベドウィンに、簡単だからと崖を登らされ（こういう場合の「簡単」は乗ってみることにしている）、
「こんなとこで死にたくない」と半泣きになりながら登った崖の上から見下ろした景色は、
ガイドブックやSNSに載っている写真と同じ場所であり「知ってる」景色のはずなのに。
まったく異なって見えるのだ。
自分でやってみると。
ガイドブックには載っていない、
登りきるまでの体験がある。
わたしの感じる怖さや期待
自分の手で触る岩肌の硬さ
名も知らない草花や
渇いた風の匂い
登りきった後に飲んだチャイの濃さ
わたしを引っ張りあげてくれるベドウィンの、
わたしより細いくせに力強い腕の力
それは、
誰かの撮った写真を見て分かったつもりになっていたら、分からなかったこと。
そもそも、「誰かの正解」や誰かが伝えてくれる「分かりやすさ」は、
その人がそこへ向き合ってようやっと出した「その人の答え」だ。
その誰かが使うからこそ価値がある。
何かを手に入れたい時、一見遠回りのように見える、「分からないこと」へ向き合う時間が、
その人らしい答えを出すように思うのだ。
Diving into the unknown
未知へ飛び込む。
うっかり「分かった気になっている」
わたしへの自戒を込めて。
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わたしを旅するPoints of You® は全4回でお届けします。
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11月16日(土)［残席わずか］
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2020年2月8日(土)
ーNobody’ Perfect ー
vol.3 は、ーWhat makes me who I am？ ー
緑薫る頃お届け予定です。
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